鹿の角きりは、発情期をむかえた雄鹿の角により、町民が危害を受けたり鹿がお互いに突き合って死傷することを防ぐために行われるようになりました。
江戸時代初期の寛文11年(1671年)、奈良奉行が、当時鹿の管理者であった興福寺の許可を得て始めたと伝えられています。
鹿の角切りを間近で見られるチャンス?!角切りの歴史や日程などを詳しくお伝えします!
鹿の角切の歴史
江戸時代の角きりは、町の所々で行われ、店先や人家の格子の中、屋根の上などから見物していたようです。明治時代の中頃には、春日大社の参道の所々で角きりが行なわれていました。
明治・昭和の戦乱期の一時中断を除き、現在まで継承されている古都奈良ならではの勇壮な伝統行事となっています。
鹿の角きりの今
現代の鹿の角切りの事をお伝えします。毎年10月に春日大社境内の鹿園角きり場にて、12時から一日5回、三日間にわたり行なわれています。
行事の流れとしては、勢子たちが赤旗を持ち、角きり場内に立派な角鹿を追い込みます。そして十字を持った勢子が鹿の角に縄をかけます。
鹿はゴザの上に寝かされ、神官役が興奮した鹿の口に水差しで水を含ませ気を静めた後、ノコギリで角を切り落とします。
鹿は神様のお使いの「神鹿」とされてきたことから、神官役が角を切り、神前に供えます。
<アクセス>
JRまたは近鉄「奈良駅」から、バス「市内循環外回り」乗車、「春日大社表参道」バス停下車、徒歩約7分。
鹿の角・豆知識
鹿の角はオスだけに生えます。角は毎年生え替わり、早春、古い角が自然に脱落します。新しく生えてくる角は、短い毛の生えた表皮に覆われ、内部に血液が巡っています。
秋には角の成長と血流が止まり、表皮が剥がれ落ちて白く硬い完成した角になります。完成した角には血管も神経も通っていませんので、切られても痛みはありません。
満1歳で初めて生える角は、枝分かれがなく「ごぼう角」といわれています。鹿の壮年期である7~10歳くらいで最大になり、長さは60センチくらいになります。
10歳を越え、老齢になると徐々に長さが短くなったり、左右の角が非対称になることもあります。
鹿からのお願い
秋は鹿たちにとって子孫を残すための大切な時です(発情期)。雄鹿は角が完成すると非常に気が荒くなり危険です。
また、雄鹿同士がケンカしている時は、特にキケンです。